中期経営方針

当社グループは、創業以来一貫して「住宅会社向けの経営支援」を目的として住宅産業を支えるプラットフォームを提供しており、住宅事業への豊富な知見を活かして住宅産業の信用創造に取り組んでいます。
近年は、「住宅金融サービスとクラウドの融合」を経営戦略の中心に据え、様々な商品をつなげて提供する仕組みにより、シェア向上を目指しています。

戦略ターゲットは中小住宅会社

当社グループの顧客は、住宅の建設・販売などを行うハウスメーカーや工務店といった住宅会社ですが、そのなかでも全国7万社以上にものぼる「中小規模の住宅会社」を戦略ターゲットと定めています。

中小住宅会社は、当社グループの強みが最も発揮できる顧客層です。当社グループの強みは、住宅事業を多方面から支援できるサービスラインナップ。住宅ローンやつなぎローンなどの販売金融だけではなく、住宅事業クラウドや完成保証、建築士による品質検査など、専門性が高いサービスを多く取り揃えており、それらを柔軟に組み合わせることで中小住宅会社が抱える特有の経営課題を解決へと導きます。

一般的に中小企業を顧客とすることは、収益性が低くリスクも高いと考えられています。しかし当社グループは、住宅の設計・施工における複雑な経済活動を熟知しており、住宅事業に特化したサービスを組み合わせることで、リスクを最小化し信用創造をすることが可能です。競合企業が参入しにくいことから激しい競争も起こりにくく、市場規模も大きいことから、当社グループにとってはチャンスの大きい分野なのです。

中小住宅会社を襲う厳しい経営環境

注文住宅市場において重要な担い手となっている中小住宅会社ですが、その経営環境は厳しさを増しています。

その理由として、人口減少による住宅着工数の減少と、住宅地を開発して販売する建売(分譲住宅)の台頭により注文住宅のシェアが流出してきた経緯がベースにあります。

分譲住宅は、規格や部材を統一し一括仕入れを行うなどの効率化によってコストダウンを行ってきました。対して、注文住宅は物件ごとのオーダーメイドという特性上、手間がかかり仕入れコストも割高な分、生産性が低く利益率を上げることが難しい商品です。

一般的に、契約から入金までの期間が長くなるほど事業リスクは高くなるものです。そのなかでも注文住宅は、顧客との工事請負契約から完成引渡しまで半年近い時間を費やす特殊な商品ともいえます。
そんななか、住宅会社にとって新たなリスクといえるのがインフレ下での受注。長い工事期間の途中で資材価格上昇もありうるなか、半年前の契約金額で完成引渡しまで完了させるという契約形態は、中小住宅会社にとって脅威ともいえます。

これらの要因により中小住宅会社の財務内容が悪化し、与信が低下しています。同時にサプライヤー側にとっては売掛リスクが高まり、住宅産業全体に濃い影を落としている状態といえます。

新たな住宅産業プラットフォームの構築へ

これまでの住宅産業の歴史の中で、商品開発や資材調達、営業ノウハウを自社で持てない中小住宅会社をサポートしてきた住宅フランチャイズ(FC)。近年、インフレや資材供給制限が住宅産業に与えた影響は大きく、与信や信用喪失という問題も急拡大しています。
従来型の住宅FCではその問題を解決できず、中小住宅会社はさらに厳しい局面に立たされており、信用補完ができる新しい住宅産業ネットワークの必要性が高まっています。

当社では、これまでも完成保証制度やつなぎ融資など住宅会社の信用補完に関わるサービスを提供してきました。また、住宅会社向けのコンサルティングに強みを持っていることから、住宅産業で様々な事業を行う企業とのネットワークを持っています。
これらを活かし、「信用補完」と「合理化」を課題解決の中心に据えた住宅産業プラットフォームを構築していきます。新たな視点による、住宅フランチャイズ2.0です。

住宅会社に対してソリューション提供を行っている様々な企業と事業提携・連携を行い、助っ人クラウドに情報を集約・活用。BIMなどの新技術にも着目しながらデジタルトランスフォーメーションを推進することで、住宅産業におけるプラットフォーマーを目指します。

中古住宅市場に向けて、IT駆使し金融でマネタイズ

今後ますます拡大していく中古住宅市場においては、当社グループでは新築住宅事業を中心としていた中小住宅会社に向けて、建てた後も顧客とのリレーションシップを構築し障害顧客化を進める住宅会社向けサービスを数多く開発してきました。

当社グループで提供している住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」に蓄積された新築時のデータベースを、そのままアフターメンテナンス事業で顧客管理システム(CRM)として活用できるほか、住宅会社が顧客とのリレーション構築に役立つサービスとして、住まいの困りごとに駆けつける住生活支援やメンテナンス保証などもサービスにラインナップ。
今後は、資産価値の自動査定をもとに評価書を作成できる機能を持たせるなど、顧客がやがて住宅を資産として活用する際に、住宅会社がその相談者として寄り添えるさまざまなサービスを開発し、住宅会社をバックアップしていきます。

いずれも、サービスの中心にあるカギは「金融」と「IT」。独自のアプローチで住宅会社の経営パートナーとして日本の住宅産業を支え、企業価値の向上を実現していきます。